米連邦準備理事会(FRB)の関係筋によると、FRBは2年前に金融危機が始まって以来、金融システムに数千億ドルの流動性を供給してきた融資制度で140億ドルの利益を上げたという。
この内部試算は、融資ファシリティから得た金利および手数料収入と、同じ資金をFRBが3カ月物の米財務省短期証券(TB)に投資していた場合に得られていた利益の差額をベースとしたもの。FRBは、金融混乱の最中に融資制度を使って必要な資金を借りた金融機関その他の投資家から、金利および手数料収入として約190億ドルを受け取った。
もし同じ金額を3カ月物TBに投資していたとすれば、推定50億ドルの利子を得ており、FRBは2007年8月以降、140億ドルの利益を上げた計算になる。
FRBの評価は、他国の中央銀行も、少なくとも取ったリスクを調整する前の段階では、危機対策による措置で利益を上げる可能性があることを示唆している。
FRBのスタッフによる試算――監査を受けておらず、公表もされていなければ、リスク調整もしていない――はFRBの流動性ファシリティのみを対象としており、ここには公定歩合や期日物資金入札(TAF)による銀行向け融資、他国の中央銀行との通貨スワップ、コマーシャルペーパー(CP)の買い取り、資産担保証券の投資家に対する資金供与などが含まれる。
この数字は、個別企業の救済や長期資産の買い取りなどを除外しているため、FRBの財務状況を完全に示すものではない。FRBは今も、メイデン・レーンのポートフォリオ――ベアー・スターンズとAIGの救済の一環として買い取った資産のプール――で多額の損失が生じるリスクを抱えている。
また、今回の試算は、追加的な景気刺激策として用意された1兆7500億ドルの資産買い取り制度の一環としてFRBが購入した住宅ローン担保証券や米国債などのポートフォリオの未実現損益も計算に入れていない。
FRBは融資制度と同じように、これらの証券についても金利収入を得る。だが、証券を買い取った時期よりも金利が高い時に売却を余儀なくされれば、損失を被る可能性もある。FRBは今回コメントを拒んだ。
一部の政治家は、FRBがAIGやベアー・スターンズのような傾いた企業や金融市場を下支えするために巨額の公的資金を使ったことを批判してきた。FRBのバランスシートは2007年の8000億ドルから2兆ドル前後まで膨れ上がった。