2009年2月2日月曜日

現役は叩かれるのが宿命

ニューヨーク(バロンズ)米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長が過去の過ちを繰り返したくないと本気で考えているなら、自身が執筆した大恐慌に関する論文を捨て、子供時代に読んだ童話でも参考にした方がいい。手始めには、イソップ寓話の「オオカミ少年」あたりが良いだろう。

FRBは28日の政策声明で長期米国債の買い取りをほのめかしたが、投資家の反応は冷ややかだった。10年債の利回りは約2.80%まで急騰し、わずか2週間で約0.5ポイントも上昇した。FRB理事らは今回の声明で、フェデラルファンド(FF)金利の目標範囲をゼロ~0.25%に据え置くという政策判断とともに、「展開しつつある状況が民間信用市場の改善に特に効果的だということを示すならば、長期米国債を買い取る用意もある」と述べた。バーナンキ議長がこの構想を提起したのは約2カ月前だ。FRB理事らは、昨年12月の政策声明で長期米国債の買い取りを「検討している」と述べており、バーナンキ議長も1月13日の講演でそのことを強調した。

FRBの表現が「検討している」から「買い取る用意がある」へと変化したことは、これがすでに決定したことを意味しているのだろうか。答えは、それほど早く実現することはないだろう、である。28日の政策声明には、長期米国債の買い取りが「特に」効果的であれば、といった新たな条件が含まれている。セントルイス連銀の元総裁、ウィリアム・プール氏は、ダウ・ジョーンズ経済通信に対し、「FRBが国債買い取り案を打ち出したことにより、市場は完全にそして不必要に乱高下している」と語った。

国債買い取り案には、まとめ方に問題があるというだけではすまない欠点がある。FRBの現行措置は、コマーシャル・ペーパー(CP)または不動産担保証券(MBS)という特定の市場支援を目的としており、少なくとも、投げ売り状態となっている関連証券の価格をファンダメンタルズ(経済の基礎的諸条件)に合った水準に近づけるという戦略に沿っている。CPの買い取りに関しては、うまく行っているようだ。FRBが買い取り制度を通じて保有するCPは先週時点で1,000億ドル以上減少したが、これは企業が短期資金を調達する際、民間部門のCPを利用するケースが増えていることを示している。

不幸なことに、FRB理事らにとって、いったんFOMC声明などで公式に認められたことを潔く撤回することは容易ではない。このことは、バーナンキ議長がFRB理事時代から学んでいるはずだ。FRBは、デフレが懸念されていた2003年期にも、直接的ではないが、今回のような国債買い取り案を打ち出したことがある。バーナンキ議長は、この時期を検証した2004年の論文で、たとえFOMCが目標とする国債買い取りを実際に行わなくても、「効率的な市場では、買い取りが行われるという(誤った)予測でさえも、利回りに影響を及ぼすだろう」と指摘している。

だが、これは諸刃(もろは)の剣である。2003年6月から7月にかけてFRBが緊急行動に出るつもりがないことを明確にしたとたん、利回りは急上昇したのだ。「それはまるで、出来の悪い映画の続編を見ているかのようだった」と、バーナンキ議長と2004年の論文を共同執筆し、現在はマクロエコノミック・アドバイザーズのエコノミストを務めるブライアン・サック氏は語った。

6年前なら、米経済は利回りの急上昇を吸収できたかもしれない。だが今は、特に米政府が2兆ドルの国債を発行する可能性が高いことや、大量償還を今月に控えていることを踏まえると、米経済が利回りの急上昇を吸収することは不可能だ。元FRB金融政策局長のビンセント・レインハート氏は、「もうすぐ国債が発行されるということは、FRBがその分だけ紙幣を印刷しなければならない立場に追い込まれるということだ」と述べた。

利回りが上昇し続ければ、FRBは遅かれ早かれそういった立場になる可能性がある。10年債利回りが3.00%を大幅に上回ったうえ、社債やMBSなどの証券とのスプレッド縮小が見られないようであれば、FRBは行動を開始するだろう。しかし、積極的ではなく、あくまで消極的な立場での行動となる可能性が高い。

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