5月11日(ブルームバーグ):世界的な不動産不況の回避を狙いにオーストラリアのラッド首相が導入した住宅市場の支援策は、一部世代の住宅購入者を債務危機に陥れる可能性がある。
初回住宅購入者を対象とする最大2万1000豪ドル(約159万円)の政府補助金と49年ぶりの低金利が昨年10月以来で4万人を超える若年層の住宅ローン利用を促しており、50万豪ドルを下回る価格帯の不動産需要が高まっている。
こうした住宅購入者は金利が上昇し始めたときに打撃を被る可能性がある。場合によっては、住宅差し押さえの急増を招き、住宅価格下落や銀行の減益、国内経済の半分を支えている個人消費の減退につながる恐れがある。米国のデフォルト(債務不履行)増加は、世界経済に第2次大戦後最悪のリセッション(景気後退)をもたらす主な要因となった。
シドニーの不動産コンサルティング会社、富士通オーストラリア のマネジングディレクター、マーティン・ノース氏は「市場に参加すべきでない人々が住宅を購入するという米国で3年前に起きた状況に酷似している」と指摘。補助金支給は「不幸な結果に向かう戦略だ」との見方を示した。
豪州が1991年以来で初のリセッションに陥るなか、今回の不動産ブームは、補助金支給額が早ければ7月1日にもカットされれば崩壊しかねない。このため、補助金支給策は不動産ブームに油を注いでいるとして、エコノミストや各紙の批判を浴びている。
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