9月18日(ブルームバーグ):スイスの銀行最大手UBSが顧客の脱税をほう助したとされる問題で米当局に7億8000万ドル(約710億円)支払った和解は、世界各地の銀行でパンドラの箱を開ける事態に発展した。
今月23日を前にオフショア口座の存在を明らかにすれば罰金支払いを免れるとしてUBSの米顧客に自己申告を促す米内国歳入庁(IRS)の時限プログラムは、スイス同業のクレディ・スイス・グループとジュリアス・ベア・ホールディングのみならず、リヒテンシュタインのLGTグループや英HSBCホールディングス、イスラエルのレウミ銀行の顧客からの申告殺到につながっている。
脱税の取り締まり強化を目指すIRSにとって、海外の資産運用会社をターゲットとする上での強みを手に入れた格好だ。2月に和解金7億8000万ドルを米当局に支払ったUBSは、顧客250人のデータを公開。さらなる情報を求めて提起された訴訟をめぐる8月の和解では、追加で4450人分を明らかにすることで合意した。
コステラネッツ・アンド・フィンクの弁護士ロバート・フィンク氏は「IRSが別の銀行を締め付ける可能性は非常に高い。今のような現象が山火事のように急速に広がるだろう」と話す。同法律事務所は250件余りの申告を手掛けたが、顧客がIRSに明らかにした口座が置かれていた銀行はスイス12行のほか、ドイツや英国、イタリア、ベルギー、シンガポール、香港に及んでいたという。
シルズ・クミス・アンド・グロスの弁護士ローレンス・ホーン氏は、顧客が口座を申告した銀行の拠点としてイスラエルとバハマ、ケイマン諸島などを挙げた。
フィンク氏とキャプリン・アンド・ドライスデールの弁護士スコット・ミシェル氏によれば、UBSの次にIRSに口座を申告する顧客が最も多いのはクレディ・スイス。同行の広報担当デービッド・ウォーカー氏は「当行の法令順守の基準は適切で、適用されるあらゆる法律に従っていると強く確信している」と電子メールで述べた。
UBSの広報担当カリーナ・バーン氏にコメントを求めて電話取材を試みたが、これまでのところ返答はない。
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