■ 真壁昭夫 :信州大学経済学部教授
トヨタが発表したリコールの内容によると、アクセルペダルの不都合でリコールの
対象となるのは合計530万台に上るようです。それに伴い、同社は、一部の車種の
販売を中止し、一部工場での生産も休止するとしています。リコールの対象となる車
の台数は、昨年1年間に米国で販売した台数の3倍程度になるといわれています。
リコールの対象車は米国やカナダだけに限らず、欧州や中国で販売した車について
も追加されたようです。また、フランスのプジョー・シトロエングループとの合弁事
業である、チェコ工場で生産された車の部品にも懸念がでているため、約10万台の
車がリコールされると発表されています。そうした事態に伴い、米国の議会では、ト
ヨタの大規模リコールに関する公聴会が実施されるようです。
日本で販売された車については、今のところ、リコールの対象になっていないこと
もあり、あまり感じないのですが、今回のリコールは、世界的な大事件に発展してい
ます。これだけの規模のリコールを実施し、しかも、工場の生産設備を止めることに
なるため、トヨタの業績には大きなマイナスの影響が出ることは避けられないはずで
す。
トヨタのライバル企業であるGMは、既に、トヨタ車からの乗り換えをする顧客に
対して、一定の現金払い戻しや低金利の自動車ローンを提供する、キャンペーンを実
施すると報道されています。そうしたメリットの提供によって、どれだけの自動車需
要が、トヨタから他の自動車メーカーに移るかは定かではありませんが、少なくとも、
それなりの痛手が出ることは間違いないと思います。
最大の問題は、今回の大規模リコールで、トヨタ車に対する顧客の信頼が低下する
ことでしょう。リコールの関するコストや生産・販売の中止は、短期的にトヨタの収
益状況にマイナスの影響を与えるでしょうが、それよりも心配なのは、高い品質を誇
るトヨタの車に対する信頼が低下し、それが長期的にトヨタの事業を低迷させること
です。
その点について、自動車のセクター・アナリスト連中にヒアリングしてみました。
彼等は、少なくとも表面上、あまり深刻には見ていないようでした。アナリストの一
人は、「今まで、リコールによって、特定の自動車メーカーの車が売れなくなったこ
とはあまりない」と指摘していました。別のアナリストは、「トヨタ車にリコールが
あったとしても、それによって、米国やカナダの需要者がトヨタ車に対する信頼を全
てなくすわけではない」と言っていました。
一方、今回のリコールが、トヨタの業績を短期的に大きく押し下げることは間違い
ないため、保有株式の割合を低下させるというファンドマネジャーもいました。ある
いは、アナリストの一人は、「リコールがきっかけで、車の需要の一部が、信頼性が
高まりつつある韓国車に流れる可能性がある」と言っていたのが印象的です。
正直なところ、米国などでの需要者のスタンスが見えないため、今後、トヨタ車に
対する信頼が、どのような状況になるかは読めないところです。ただ、トヨタが、今
回のリコールの教訓を生かして、品質管理を一段と強化することができれば、需要者
の信頼を少しずつ取り戻すことは可能なのではないかと思います。
元々、トヨタはしっかりした生産管理技術を持った企業であるはずです。そのトヨ
タが、アクセルに関する部品の不具合で、大規模なリコールの実施を余儀なくされた
こと自体、我々にとっては意外な感じすら持ちます。それが、もし大企業病と呼ばれ
るような、慢性的な組織の弛みに起因するものであったとしても、トヨタには、わが
国を代表する製造業として、もう一度、組織の引き締めを図って欲しいと思います。
それができれば、今回のリコールの痛手を乗り越えることは可能と信じたいと思いま
す。
韓国車 orz。
2 件のコメント:
韓国製品はこの不況によって北米でシェアを広げております。
なので、韓国車といえどあまり抵抗がないのだと思います。
肉ばっかり食っているので、少し前のことが覚えていられないのだと思います。
日本人との区別もつかないらしいですからね。僕は、ちゃちちゅちぇちょ口調だと本土の人ではないなとすぐに気付きます。
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