2010年2月2日火曜日

ドロボーは嘘つきの始まり

2月2日(ブルームバーグ):ドイツのメルケル首相は脱税の取り締まり強化を目的に、スイスの銀行口座に関する盗難情報を購入することへの意欲を示した。昨年の脱税をめぐる調査であつれきが生じたスイスとの関係が一段と悪化しそうだ。

首相は1日、ベルリンで記者団に「重要な内容ならば、そのデータ取得を目指すべきだ」と語った。独紙ハンデルスブラットは先に、ドイツ国民がスイスに隠し持つ銀行口座の情報があれば、独政府は脱税で失われた税収2億ユーロ(約253億円)を回収できる可能性があると伝えていた。

一方、スイスのメルツ財務相は、盗難対象となった情報が絡む税金支払い問題でスイス当局が法的援助を行うことはないと言明。銀行の守秘義務をめぐってドイツのほか、米国やフランスから攻撃を受けているスイスの銀行業界も独政府はデータを購入すべきではないとの立場を表明した。

ショイブレ独財務相は、脱税の疑いがある人物の特定で独政府に提供されたスイスの銀行顧客に関するデータを購入すべきかどうかを検討している。財務省のオフェル報道官によれば、決定に際しては独当局がリヒテンシュタインの顧客データを取得して脱税調査につなげた2年前の事例を参考にすると説明している。この事例が公になって以降、盗まれた銀行データの提供を税当局が受けるケースが増えたという。

  スイス財務省は1月20日、盗難データに基づいた外国当局への支援を禁止する法案を策定する方針を明らかにした。フランス当局がスイスの一部銀行口座の詳細情報を保有していると発表したことがきっかけだった。この詳細情報には、英銀HSBCホールディングス傘下のジュネーブのプライベートバンクから盗まれた情報も含まれていた。

  独財務省のオフェル報道官によれば、ショイブレ独財務相とスイスのメルツ財務相は1日の「建設的な」電話会議で、問題解決に向けて協調することで合意した。

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