2009年8月23日日曜日

紙終了

米メディア大手CBS(NYSE:CBS)は、秋に始まるテレビ番組のユニークな宣伝方法として、米タイム・ワーナー(NYSE:TWX)の娯楽誌「エンターテインメント・ウイークリー」に小さなスクリーンを埋め込む。

 スクリーンは2.25インチで、CBSの新旧の番組を合計約40分間再生する。「ビデオ・イン・プリント(VIP)」と呼ばれる技術を利用するものだ。

 今回の動画広告は、この「ビデオ・イン・プリント(VIP)」技術を人気ドラマ「ビッグ・バン・セオリー」の登場人物が紹介するところから始まる。

 その後、スクリーンをはめ込んだ厚紙の再生ボタンを押すと、ホームコメディー「トゥー・アンド・ア・ハーフ・メン」の一部が再生される。

 別のボタンを押すと、犯罪捜査ドラマのスピンオフ番組「NCIS:ロサンゼルス」の予告編を見ることができる。このほか、この宣伝に資金提供している米清涼飲料・食品大手のペプシコ(NYSE:PEP)の広告も再生される。

 この動画再生技術はアメリチップ(本社:ロサンゼルス)が開発したもので、グリーティングカードで音楽を再生する技術とよく似ている。また、繰り返し充電が可能。

 CBSは、この宣伝の費用を明らかにしない方針。マーケティング部門のジョージ・シュワイツァー社長は19日の会見で「ペプシコーラ缶1本よりは高い」と述べた。

 一見したところ、缶入り炭酸飲料1本よりははるかに高そうだ。エンターテインメント・ウイークリーを発行している「タイム」部門のポール・ケイン社長によると、動画再生スクリーン1つのコストはおおよそ「十数ドル」だが、雑誌発売までにコストが下がる可能性があるという。

 タイム部門も、この広告の料金を公表していない。この広告は印刷工場で、人の手で組み込む必要がある。ただ、今年上半期のエンターテインメント・ウイークリーの広告ページは前年同期に比べ32%減少したため、この広告による収入を大いに必要としている。

 この広告は、ニューヨークとロサンゼルスで定期購読している一部の読者向けだけに挿入される。CBSの広報担当者は、挿入するスクリーンの総数を明らかにせず、「数千」とだけ述べた。

 雑誌がハイテクを利用するのは初めてではない。「エスクァイア」は昨年10月号の表紙に、光る電子インクを採用した。これは、インターネット通販大手の米アマゾン・ドット・コム(Nasdaq:AMZN)の電子書籍用端末「キンドル」と同様の技術を用いたもので、表紙と中のページの米フォード・モーター(NYSE:F)の広告でメッセージと自動車の画像が光っていた。

 CBSはこうした技術の採用に特に積極的で、2007年には音楽・娯楽誌「ローリングストーン」に、ラム酒事業にかかわる家族を主役とした番組の宣伝として、なめる広告を挿入した。05年には娯楽誌「ピープル」に、エルビス・プレスリーの連続ドラマの宣伝として、歌を奏でるチップを組み込んだ。

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